ハウス36

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民家の増改築計画。もとは駒ヶ根に建っていた民家であったが、昭和36年の三六災害に被災したため、祖父世代が丸太梁と敷石といった主たる構造体を現在建物が建っている箕輪までわざわざ運び、場所を変え再建された民家である。計画に際しては、これまで複数回行われた増築工事によって複雑化した建物を単純化させ、3世代の家族が距離感を取りつつも、ひとつ屋根の下で気兼ねなく暮らして行けるような空間を求められた。加えて構造については、基礎からの根本的な耐震化が求められた。
平面においては、薪ストーブを設置した広めの玄関土間を住宅の中心に据え、玄関土間に面してふたつの独立したリビング・ダイニングを配置することで、家族間がある程度の距離を保てるように工夫した。玄関土間には、家業であるリンゴ農家用の作業スペースを併設させ、りんごを買いに来たお客さんと家族がプレイバシーに配慮しながらも気兼ねなく交流できるように計画した。加えて、今まで天井のなかに隠れていた丸太梁を、清掃 ・塗装の上で空間のなかに積極的に取り入れることとした。新たな架構であらわしになる丸太梁と柱については素地ままとし、新旧の架空が対比的に見えるよう計画した。今まで建物を縁の下で支えていた敷石については、建物の耐震化によって不要となったが、玄関 周りの敷石として、新たな場所で新たな歴史を刻んでゆくように配置しなおした。構造においては、基礎を土間付きで全面的に打直した上で、これまでに複数回行われた増改築工事によって複雑化した架構を、新たな平面計画に則って整理し、筋交いを適宜 配置することで耐震化を図った。
古い民家の黒い丸太梁に新たな丸太梁が継ぎ足されることで、古い世代の家族の歴史に新しい世代家族の歴史が象徴的に接続され、改装された民家の梁のもと、また再び家族の歴史が刻まれたらと考えた。

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